The judge

 

 

「離婚したいと妻に言われたんです。」

男性客はとても疲れている様子だった。

 

 

 

この男は、ちょっと変わった性癖を持っていた。

それを妻には話せず、ずっと結婚生活を続けてきた。

 

ある日、男は自分の性癖を満たしてくれる女性と出会ってしまった。

SNSで同じ性癖を持つ集まりを見つけたのだ。

そして肉体関係を持った...

 

 

 

「奥様にどうして知られたんですか?」

和織が尋ねた。

 

「出掛ける後ろ姿が、とても楽しそうに見えて、

 変化が直ぐに分かったと言っていました。」

 

朝から何か楽しそうで、出掛ける足取りがいやに軽やかに見えた時、その男性の妻は女が出来たのだ、今日は女と会う日なのだと 直観したのだそうだ。

 

女の勘ってやつかぁ...

和織は納得するしかなかった。

 

 

俺の嫁さんね、すごくって...

 どうやったのか、自分で彼女のこと調べ上げたらしいんです。

 勤め先や趣味やよく行く店や。」

 

すごい!!FBIみたいだ!!

と和織は思った。

 

「それで...

 彼女に近づいて友達になって、相談を受けるまでになって、

 そして俺のことを全て聞き出したらしいんです。」

 

すごい!!CIAみたいだ!!

和織は楽しくなってしまって、その男性客の話に聞き入った。

仕事はそっちのけだった。

 

 

事実は小説より奇なりなものだ。

なぜ男女は出逢うのか、別れるのか、書き表せない不思議が現実にはある。

そしてそれぞれの心の機微もまた、書き表せない複雑さがある。

この男性客の話は、読書好きの和織の心をすっかり掴んでしまっていた。

 

 

 

好き合って結婚したはずなのに、どうして別れるんだろう。

性癖なんて、性の不一致なんてどうにでもなりそうに思うのに。

子供がいると違うのかな…

子供がいたら別れる選択はしなくて...

夫婦なだけだと男女でしかないのかな...

男性客の話を聞き終わり、和織はそんなことを考えていた。

 

和織には離婚歴がある。

彼女は子供が出来なくて、姑にツラく当たられ、耐えられず離婚を決めたのだった。

 

元夫と話し合うことすらしなかった為、離婚届提出後に弁護士がやって来て、やり直す気持ちはありませんか?と問われた。

和織は頑固な女性だ。決めたことをそうそう曲げることが出来なかった。

 

離婚に後悔はしていないが、向き合うことから逃げたことは後悔している。きちんと話すべきだったと思っていた。

 

 

 

「こんな気分の時は...

 特別にコレ開けちゃいましょう!!」

 

  

Kongsgaard Chardonnay The Judge

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「和織さん、それグラス売りするの?」

カウンターに座る他の客から驚きの声が漏れた。

 

 

「別れは人生の中の辛い決断ですから...

 でも…

 一度とことん向き合ってみられてはいかがですか?

 タロットに【審判】というカードがあるんです。

 【審判】のカードは復活や再生を表し、過去に遡りもう一度改善するチャンスが

 与えられるという意味があるんです。

 奥様と別れるのか、やり直すのか、改めてゆっくりお考えくださいね。

 グラス売りしますけど、安くないですからねぇ♪」

 

 

このワインが後悔しない選択に導いてくれますように...

互いが幸せになれる未来を示してくれますように...

そう願いながら、和織はグラスにワインを注いだ。

 

 

 

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実は今日は、私の大好きな人の誕生日なんです。

とっても怒らせてしまったので、おめでとうも伝えられない

誕生日になっちゃいました。

 

お誕生日おめでとう。

それに、ごめんなさぃ。 

 

「Judge」は今の私が引きたいカードです。

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Kongsgaard Wine《コングスガード・ワイン》


ジョン・コングスガード氏は、若かりし日に夢見たクラッシック音楽家としての将来を断念します。

そして、ナパヴァレーで五世代続く稼業(土地に根差した農業、造園業、岩切り出し業)を、家族と共に継いでいこうと妻のマギーと共に決意します。

 

1970年代、ナパ市街に程近いクームスヴィル(Koomsville)の丘の上にある土地で、白葡萄の栽培に着手しました。

当時このロケーションに太鼓判を押した人物は、伝説の偉人、故アンドレ・チェリチェフ。

「岩だらけで遮るものもない丘の上。強い風が通るこの土地から、絶対無二のものが出来る」

 

畑の名は『ザ・ジャッジ・ヴィンヤード』。

判事であった父への畏敬の念が表されたその畑からは、後世語り継がれる伝説のワインが生み出されていくのでした。