Unnecessary

 

 

「和織さん、今晩和。」

「いらっしゃい裕ちゃん。

 こんな遅い時間に来るなんて珍しいねぇ!!」

 

裕はこの店の常連で、和織はこの店のソムリエールだ。

 

「和織さん...

 私、今さっき男を捨ててきた。」

「ぇええええ。」

 

「ちょっと酔い醒ます?」

和織は冷たい水をグラスに注ぎ、裕へと差し出した。

 

「彼に女がいたの。それも三人...」

「三人も必要だったのね。」

和織は苦笑いするしかなかった。

 

「私の彼ね、20代から30代女性向けのファッションブランドのバイヤーなの。

 月の半分以上は中国に行ってる。帰国しても出張多くて。」

裕は落ち着こうとグラスの水を口にした。

 

「今日ね、久しぶりのデートだったんだけど...

 私は冗談で、向こうに女がいたりしないよね?って訊いたの。

 そしたらあいつ、いるよって答えた!!」

「ぁあ...」

余計なこと訊いちゃったもんだと和織は思った。

 

「恋愛とかじゃないし、みんな対価はお金だからって言うから、

 対価はお金?女買ってたの?囲ってた?

 いや、待て、みんなぁ??

 みんなって一人じゃないの?って訊いたら、三人いるって!!

 三人も必要なの?!って私も思ったから思わず訊いたの。

 そしたらね、中国は広いから!!だって...」

「日本は狭いから裕ちゃん一人でいいってこと?」

 

「ぇえ??」

裕は頬を両手で包み顔を横に振った。

 

「裕ちゃん、もう少し飲まない?中国のスパークリングワインでよければ?」

裕には和織の笑顔が、とても意地悪に見えていた。

 

 

和織が取り出したワイン。

Grace Vineyard Angelina Chardonnay Sparklinr Wine

 

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「可愛いエチケット!!」

「でしょ?おさるさんのぬいぐるみ持って、このティファニーブルーなエチケット♪

 味も最高なんだよねぇ~♪」

 

「今夜はもう誰もみえなさそうだから、私も飲もうかなぁ。」

和織はグラスを二つ用意しスパークリングを注いだ。

 

 

「美味しい!!」

「でしょ?!この奥ゆかしい蜜香が好きなの。

 カベルネ・フランで造ったものもあるみたいだけど、それはまだ未体験なんだよ

 ねぇ。」

 

 

二人でうっとり、ゆっくり味わう。

ゆったりした時間が流れていたのだが、突然和織は真顔で裕にこう言った。

 

 

「裕ちゃん、あのね...

 性病の検査とHIVの検査、受けたほうがいいからね...」

 

 

興覚めする和織の言葉と共に、夜はどんどん更けていった。

 

 

 

 

Grace Vineyard(グレース ヴィンヤード)

グレース・ヴィンヤードは北京の西にあたる山西省に、中国初の家族経営のワイナリーとして誕生しました。

グレース・ヴィンヤードのワインは中国国内の有名ホテルのワインリストに必ずオンリストされ、大きな発展と共に素晴らしいワインを造り出しています。

現在は200ヘクタールの葡萄畑を所有。

現在のCEOジュディ・チャンの父が1977年に、友人でもあるフランス人醸造家デニス・ブーバレの協力を得て始めたのですが、今のような発展を遂げて有名になったのは、ジュディがゴールドマンサックスを退職して2002年にCEOに就任してからです。 

 

ジュディさんは才色兼備な女性で、日本人の私も憧れる素敵な方です。